公開講演会「これからはヨセフスとギリシア語訳聖書をガンガン読もう」
INFORMATION
『七十人訳ギリシア語聖書』は、ヘレニズム?ローマ時代のパレスティナおよびディアスポラにおけるユダヤ教の、また当時誕生しつつあった最初期キリスト教とその出身母体であるユダヤ教の間の、複雑な交流史の証言者である。いわゆるヘブライ語聖書の場合、死海文書の聖書写本を除けば、まとまったものとして最古のものがレニングラード写本(11世紀初頭)である一方で、『七十人訳聖書』の最古の完全写本はキリスト教聖書の大文字写本(シナイ写本その他、4-5世紀)であり、旧約聖書の本文研究にとって、また古代世界における異文化間交流の実例として、その重要性は計り知れない。この聖書は、使徒パウロを含む最初期のキリスト教徒だけでなく、ヨセフスやフィロンなどの古代ユダヤ人著述家たちにとっても聖書そのものであった。他方でヨセフスは、第一次ユダヤ戦争(紀元66-70/73年)を経て、敵側であったローマ皇帝フラウィウス家の家臣団に迎えられ、ユダヤ戦記を含む自民族の歴史その他についてギリシア語で著述を残した。最初期キリスト教および同時代のユダヤ民族史および社会史を知るには、彼の著作が欠かせない。本講は、ヘレニズム?ローマ期のユダヤ教とキリスト教の諸関係について、最新のヨセフス研究および七十人訳聖書研究の視点から論じる。
講師
多摩美術大学名誉教授、京都大学大学院、ドロプシー大学大学院(フルブライト、Ph.D)、ペンシルヴァニア大学大学院上級研究員、同大学客員研究員、ケンブリッジ大学(クレアホール)フェロー終身会員、(ウォルフソン?コレッジ)フェロー終身会員、イェール大学大学院客員研究員
秦 剛平 氏
国際基督教大学卒、オックスフォード大学客員教授(1999?2000年)、同大学客員研究員(2001年以降)。
【古典文献の翻訳】ヨセフス『ユダヤ戦記』全7巻(山本書店、ちくま学芸文庫、2002年)、同『ユダヤ古代誌』全20巻(山本書店、ちくま学芸文庫、1999?2000年)、同『自伝』と『アピオーンへの反論』(山本書店、青土社)。フィロン『フラックスへの反論+ガイウスへの使節』(京都大学学術出版会、2000年)。『七十人訳ギリシア語聖書』(河出書房ないし青土社、分冊2002?2023年)、他多数。
【著書?編書】Gohei Hata and Louis H. Feldman eds., Josephus. Judaism, and Christianity(Wayne State University Press+ E. J. Brill ,1987); Gohei Hata and Louis W. Feldman eds., Josephus, the Bible, and History(Wayne State Uiversity Press + E. J. Brill, 1988); Gohei Hata and Harold W. Attridge eds., Eusebius, Christianity, and Judaism(Leiden: E. J. Brill, 1992); Akio Moriya and Gohei Hata eds., Pentateuchal Tradition in the Late Second Temple Period: Proceedings of the International Workshop in Tokyo, August 28-31, 2007 (Leiden: E. J. Brill, 2012);『旧約聖書続編講義——ヘレニズム?ローマ時代のユダヤ文書を読み解く』(リトン、1999年)、『七十人訳ギリシア語聖書入門』(講談社選書メチエ、2018年)、『美術で読み解く聖人伝説』(ちくま学芸文庫、2013年)、他多数。
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